1.ジオステップ工法とは?

工法概念図ジオステップ工法は、土砂災害等を防止するための斜面安定化工法として機能しながら、斜面の本格的な樹林化(緑化)も可能にする工法です。また、直立させた受圧板に定着されるグラウンドアンカーやロックボルト等の引張鋼材を水平に近く設置可能であるため引き止め効果が高く力学的効率の良い斜面安定化工法と言えます。

本工法は、従来の斜面をコンクリートで固めてしまったり、斜面に平行な受圧板を設置する工法とは異なり、直立させた受圧板とそこに定着される引張鋼材により、斜面の安定化(地すべり等防止)を実現すると共に、直立受圧板間に水平部を設けることで斜面を階段状にし、この水平部に樹木を植栽することで従来自然の持っていた景観と生態系を回復させることも可能なのです。

受圧板を鉛直に設置して斜面を階段状にすることの利点としては、用地制限のある場合に有効となる場合があること、のり尻から上方に施工を進めていく場合であっても安全性が高いこと、さらに、水平部があることで施工時はもとより保守・点検時の安全性も向上することなどが挙げられます。


2.工法の概要

工法比較図 ジオステップ工法工法比較図 従来工法ジオステップ工法は、切土法面や地すべり斜面等に適用することを想定した土砂災害防止工法です。以下にその概要をまとめました。

【適用条件】

・受圧板(重量約1.8t/枚,2.0×2.0m)の運搬・設置が可能であること

・最大のり面勾配  1.0 : 0.5 程度まで

・最大のり面長 100m程度まで

・土質条件 硬岩、軟岩、礫質土、砂質土、シルト、粘性土

【特徴】

①従来工法に比べアンカー傾角が小さくなり(水平面に対して約10~20°)、土塊に対する引き止め効果が高く力学的効率が向上する

②受圧板を垂直に設置するので、道路計画時の切土法面等で用地制限がある場合に有効となる

③水平地盤部では、雨水・地表面水の流れが緩やかになり表土の流出を抑制できる

④植栽基盤の深さが十分確保されているため本格的な緑化(樹林化)が可能であり、自然に優しく景観的にも優れている

⑤のり尻から上方に施工を進めていく場合であっても、引き止め効果の高い待ち受けアンカーが存在するため安全性が高い

⑥施工時及び保守・点検時に水平部が確保されているため、安全性に優れている


3.特許・新技術情報提供システムについて

【特許について】

ジオステップ工法の受圧板に関する特許が登録済みです。

◎ 特許番号 : 特許第3048535号

◎ 発明の名称: 法止めブロック

◎ 登 録 日 : 平成12年3月24日 (2000年3月24日)

本工法の採用にあたっては、ジオステップ振興会へ申請をして下さい。


【新技術情報提供システムについて】

国土交通省 新技術情報提供システム(NETIS)に登録済みです。

◎ 登録番号 : HR-050004-A

◎ 技術名称 : ジオステップ工法

◎ 最終更新日: 平成23年11月2日 (2011年11月2日)

登録内容は、国土交通省のホームページでご確認下さい。

http://www.netis.mlit.go.jp/NetisRev/


4.受圧板について

ジオステップ工法に用いる受圧板の種類は、アンカー容量に応じて200,400,600kNタイプの3種類を用意しています。標準形状は3種類とも同一であり、幅2.0m×高2.0m×厚15cm(増厚部30cm)、重量約1.8t/枚です。アンカー力と背面地盤に応じて板の設計計算を行い、コンクリート強度と鉄筋量を変えることで安全性を確保しています。

受圧板種類一覧表



標準受圧板形状 一般図受圧板嵌合部 詳細図受圧板は、一般的な計画において水平方向に連続させて配置します。このため、ジオステップ工法の受圧板側面には凹凸形状をした嵌合部を設けています。これにより、ジョイント部からの土砂流出防止、直線配置・曲線配置に限らず隣接する受圧板とのズレ防止等の効果が得られます。

標準形状以外の調整板、隅切板、また600kNを超える設計アンカー力の場合等は個別に対応致しますので、ジオステップ振興会までお問合せ下さい。


5.アンカーについて

グラウンドアンカーは、そのアンカー構造(引張型,圧縮型,荷重分散型等)、引張材の種類(PC鋼線,PC鋼棒,連続繊維補強材等)、定着方式(くさび定着型,ナット定着型,くさび・ナット併用定着型)等により分類されます。

実に様々なアンカーがある中で、ジオステップ工法に使用するグラウンドアンカーは永久アンカーを基本としますが、その使用目的や維持管理方法、経済性等により決定されますが、一般的にあらゆるタイプのアンカーの中から現地状況に応じて適切なものを任意に選定することができます。

また、グラウンドアンカーに限らず、補強土工法に用いられる異形棒鋼やロックボルト等の棒状補強材を用いることもできます。

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